(89)ご自分でシミュレーション表を作るなら
200LXでの不動産(マンション)投資のシミュレーションについて、ここに書いたあとで、インターネットで検索してみたところ、表計算でのシミュレーションについての記載をいくつか見つけることができました。
しかし、詳しい内容が説明されていないので、それらのシミュレーションがほんとうに正しいかどうか、私には判断ができません。私と同じように、私が発表したシミュレーションについても、ほんとうに正しいか?と考える方もいらっしゃると思います。さらに、ご自身で計算シートを作ろうという方もいらっしゃると思います。
そこで、ご自分で計算する場合に役立つように、計算のやり方を書いておきますので、参考にしてください。
ここでのマンション経営のシミュレーションは、「給与所得との損益通算」を前提にしています。(もちろん、給与所得をゼロにすれば、不動産単独の収支になります)
計算に際してのポイントは、計上できる「経費」と「減価償却」ですので、まず、そのことからお話します。
不動産の価格は、土地ぶんの価格と建物の価格の合計ですが、「減価償却」できるのは、建物部分だけです。ですから、全体の不動産価格のうちの土地の比率と建物の比率を明確にしておく必要があります。中古か新規物件かなどによっても違いますが、マンションの場合は、土地ぶんの割合が30~50%くらいです。(私は中古物件では50%に設定しています)
また、建物部分についても、躯体部分と付帯設備部分に分ける必要があります。一般に前者は定額償却、後者は定率償却です。前者が60~70%くらいに設定することが多いようです。(私は65%に設定しています)(躯体部分も構造によって償却できる年数が違ってきます)
減価償却費の計算ができたとして、不動産投資で一番大きいコストである所得税の計算のことをお話します。
ある大手の中古マンション業者が売り込みに来たときに、コンピュータで計算した20年間におよぶ毎月の詳しい収支シュミレーションを持ってきました。しかし、私がそれを検討してみると、減価償却と経費が大きい購入後数年間の税金(還付金)の計算はしているのに、その後、利益がでるようになってからの納税額は計算してありませんでした。
私がその不備(インチキともいえる)を指摘すると、「税額によって違うから、、、」などと、弁解にならない弁解をしていました。もし、税額によって違うというなら、還付金額も税額によって違うのです。それなのに見かけ上はいかにも儲かるように見せるため、お金が入ってくる還付金はしっかり計算していて、お金が出て行く納税額は計算していませんでした。相手がシロウトと見くびって、いかにも精密に計算しているように見せかけることがかなりあると思いますので、注意してください。(もちろん、私はインチキ会社からは買いません)(それにもともと利回りがかなり悪かった)
インターネットの検索でいろいろ調べているうちに、上に書いた「詳しいシミュレーションを持ってくる会社」からシミュレーションを提示されたと得意そうに書いている人を見かけました。その会社から物件を買うんだそうです。それを読んで、「自分で計算できない人は、こういうふうにダマされて買ってしまうんだろうな」と思いました。だまされてマンションを買ってしまっても、数年経過しないとご自分がだまされたことに気づきません。皆さまも気をつけてくださいね。
さて、所得税の算出のためには、「課税所得額」を計算します。課税所得額は、家賃収入から「経費、固定資産税、減価償却費、支払い金利」といった必要経費を差し引きます。
「支払い金利」は「ローン返済額」とは違います。「ローン返済額」は「元金返済ぶん」と「金利ぶん」の合計ですから、200LXのTVMでロータス123上に返済表をつくるように、その2者を分けて計算する必要があります。(ロータス123の財務関数では@GANRIという関数ですので、EXCELでも計算できると思います)
この「課税所得額」に対して、給与所得の税率をかけることで、不動産所得に関しての納税額を計算できます。本来の給与所得に対しての税額にプラスあるいはマイナス(還付)する税額です。(この「税率」は給与所得の額によって違います。たとえば課税所得が1800万円以上だと所得税と住民税を合わせて50%です)
そして、「課税所得額」-「納税額」-「元金返済ぶん」+「減価償却費」が手元にのこる金額です。しかし、「元金返済ぶん」はとうぜん、直接的に手元にあるわけではありません。見えない貯金のようにローン返済に回ってしまっていますので、じっさいにキャッシュとして手元に残っているのは、「課税所得額」-「納税額」+「減価償却費」となります。
以上を考慮することで、キャッシュフローの計算、損益の計算ができます。ぎゃくに、以上のことを考慮していないシミュレーションは、正確ではないと考えてください。
私のシミュレーションでは、途中で不動産を売却するときの損益も計算するようにしています。不動産を売却するときの価格として、中古物件を購入してすぐに売却する場合は、購入価格の90%の価格、それ以降の年は毎年2%づつ価格が下がるものとしています。しかし、実際に売却する場合はそんなに単純ではないでしょう。ですから、かなり大雑把な予想です。また、売却する場合はそれに関しての経費がかかるはずですが、その経費も考慮していません。もともと想定した売却価格そのものが大雑把な数字ですから、経費のことは誤差範囲と考えました。
また、私のシミュレーションでは、空室率を考慮していません。もし、空室率を90%とでも考えるなら、家賃に0.9を掛ければいいだけなので、わざわざ「空室率」を設定していません。
また、家賃の下落率も考慮していません。それを言い出すなら、ローンの変動金利も考慮しなければならないと思いますし、物価のインフレも考慮しなければならないと思います。あくまでも、「おおざっぱにシミュレートできればいい」と考えて計算シートを作ってあります。
さて、シミュレーション計算をしてみることで、その不動産を購入てから10年間、20年間、30年間、、、、、の損益を予想することができます。
いろいろな数字を入れて、再計算、再々計算してみることで、どのような条件で購入したら自分に合うかを試算することができます。
私自身、いろいろシミュレートしてみて、実感として理解できたことがかなりありましたので、最後にそのことをお話しておきます。
(1)もともと表面利回りが低い物件は利益がでません。当然のことですが、「節税になりますよ」という物件は、「これを買うと損しますよ」という言葉と同義です。.まずは、購入価格と年間家賃、固定資産税、管理費などから、(表面)利回りを計算してみましょう。
(2)ローンの利率は、あまり大きく影響しません。金利は経費になりますので、経費として計上できない通常の住宅ローンとは考え方が違います。
(3)給与所得の所得税率が大きく影響します。税率が高い(給与所得が多い)方は、赤字のときの税金の還付も多いのですが、利益がでるようになったときの納税額も多くなります。ですから、もし、給与所得が多いときに不動産運営で赤字が出るようにして、給与所得が少なくなったときに不動産運営で黒字がでるような設定ができれば、不動産投資は有利な投資になります。
(4)キャッシュフローには、ローン返済期間が大きく影響します。借入金を10年で返済するか、20年、30年で返済するかということです。返済期間が長くなれば、毎月のローン返済額が少なくなりますから、キャッシュフローはよくなるということです。
いずれにしても、不動産経営は何十年もの間の資産運用です。また、換金性は良くないのが普通ですので、机上でじゅうぶん検討してから行うことが肝要と思います。


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