無料ブログはココログ

« (484)岩波英和辞典新版の用例「D」 | トップページ | (486)日経新聞9月14日夕刊に岩波英和辞典新版の写真 »

2010年9月 9日 (木)

(485)雑誌「ニュートン」で、「脳神話」に注意!

(485)雑誌「ニュートン」で、「脳神話」に注意!

「ニュートン」という雑誌に「脳の『神話』にご注意を!」という記事が掲載されています。

Back1 「ああ、また、インチキ脳科学か」と思いながら記事を読んでみたら、逆でした。インチキ「脳科学」批判の記事でした。

「脳科学」というと、脱税「脳科学」者の「茂○健○郎」のことを考えちゃいます。

野口悠紀雄先生は脱税脳科学者のことを批判していますが、「脱税」行為に関して、私も野口先生と同意見です。
「納税の痛みこそ政治と財政の原点」http://essays.noguchi.co.jp/archives/355#more-355

脱税は、犯罪にきわめて近い卑劣な行為でありながら、日本ではあまり咎められないのも困ったものです。天下のNHKが、平然と番組に出演させているのにも腹が立ちます。

その脱税脳科学者が書いている「脳科学」なるものも、かなりのインチキです。「脳科学」というシロウトをだますようなカンバンを出していながら、書いていることは、従来、「心理学」で扱ってきた分野です。

あたらしく「脳科学」ということばを作ったなら、内容的には「脳神経科学」でしょう。もし、「脳」という人体の臓器を扱うなら、「脳科学」といっても良いと思います。拡大解釈して脳の機能を扱うことまで含めてもいいかもしれない。

そこらへんは、Wikipediaの「脳科学」の項目では「神経科学」と書いてあります。Wikipedeiaは誰が執筆したのかわからないけれど、かなり正しく書いています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6

でも、「脳」という臓器を離れて、「学習」とか「心理」などをテーマとするなら、それは「脳科学」じゃなくて「心理学」です。

そういうことで、「脳科学」という言葉自体に、うさん臭いにおいが、ぷんぷんします。

さて、本題の「脳の『神話』にご注意を!」という記事についてです。
サブタイトルは、

「世の中にあふれる脳の『俗説』」
「科学的な根拠はあるのか?」

現在の世の中には、脳に関する様々な情報があふれている。中には科学的な根拠の薄い「神経神話(neuromyth)」とよばれる俗説もある。そのような説が、科学的に正しいかどうかを見分けるにはどうすればよいだろうか?

とあります。

協力 坂井克之(東京大学大学院医学系研究科准教授)だそうです。この先生が実際の執筆者でしょう。

ここに書かれているサブテーマは7つあります。それらについて簡単に評価を書いておきます。

(1)脳は10%しか使われていない?
 「脳は必要なときに必要な神経細胞だけが活動している。多くの神経細胞が使われた邦画より高い能力が発揮できる、という単純なものではないのだ」と書いてあります。

 至極まっとうな考え方です。

(2)脳トレ自体は上手になるけれど...
 「トレーニングの効果が、直接トレーニングを受けていない項目について現れることはなかった」「結論を一言でいえば『効果なし』」

 「筋トレで筋肉をきたえるように、脳がきたえられて機能が向上するという証拠はなく、思い込みです」だそうです。

 つまり、「脳トレ」をすると、「脳トレ」のテストの点数は良くなるけれど、別の種類の問題には効果がないということです。

 私は「脳トレ」をしたことがありませんが、これものこと当然だと思います。

(3)右脳型人間は芸術的?
 『右脳をよく使う右脳型の人は芸術的、左脳をよく使う左脳型の人は論理的』といった俗説」「科学的には、右脳型・左脳型という分類はありません」とあります。

 これも当たり前なんですよ。脳の右半球と左半球は脳梁でつながっていて、協働して機能します。左右で切り離して実験することができません。脳波で測定して、どちらかが優位に活動しているように見えても、じっさいにそどちらかが優位に働いているかどうかはわからないんです。検知不能です。

 ですから、「右脳型」「左脳型」というような言葉を聞いただけで、「ああ、この人の話はインチキだな」と決めつけてしまって構いません。「右脳型」「左脳型」というのは、「血液型性格判断」がまるっきりのインチキと同じくらいのウソです。

(4)男は話を聞かず、女は地図を読めない?
 「男女の統計的な差よりも、個人差のほうが大きいのです」とあります。

 そうなんでしょう。

(5)『3歳』までにすべてが決まる?
 「視覚や言語などの一部の機能は、ヒトでも感受性期があることが示されています」「多くの機能については、感受性期が存在するのかよくわかっていません」だそうです。

 しかし、「感受性期」のことは、「脳科学」の領域の問題ではないでしょう。脳科学者がコメントしてはいけないというわけではないけれど、少なくとも、この領域に関して、脳科学者は、プロではなくシロウトです。

(6)魚を食べると頭がよくなる?
 「血液脳関門」のために、「口から摂取した物質は、簡単には脳に届かない」と書いています。

 脳神経には、各種の物質が届きにくいのは確かです。ですから、魚を食べても、それだけでは頭はよくなりません。

 人間のカラダは、あんまり「ご都合」良くは、できていません。

 私は視覚情報についての専門家なのでお話ししますが、「ブルーベリーを食べても目は良くなりません!」同じように「血液眼関門」がありますから。

 さらに同じように、キチン・キトサンを食べても、関節に特異的には運ばれません。

 また、ヒアウロン酸を食べても、お肌には届きませんし、関節腔にも届きません。つまり、お肌スベスベにもなりませんし、関節痛にも効きかないということです。

 「何か特別な食品を食べたらカラダのどこかが良くなる」という話は、ほとんどすべてウソと考えるのが良いです。

 一言でいえば、それを売って儲けようとしている会社のワナ(ウソ)です。

 そういう「カラダにいい」というコマーシャルの惹句をよく見てください。「○○に効く」とはけっして言いません。「○○でお悩みの方に」というような表現をします。実際に「効く」わけではないので、「『効く』というウソ」をコマーシャルでいえないからです。

 テレビのコマーシャルの出演者が、いかにも「効く」ようなことを言いますが、その画面には「個人的な感想です」と逃げの文句が同時に放映されます。つまり、「効く」ように思えるのは、個人的な「思い違い」の可能性が高い、と言っているわけです。

 視覚関連のウソについては、稿を改めて、また詳しくお話しするつもりでいます。

« (484)岩波英和辞典新版の用例「D」 | トップページ | (486)日経新聞9月14日夕刊に岩波英和辞典新版の写真 »

2. 読書と知的生産」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: (485)雑誌「ニュートン」で、「脳神話」に注意!:

« (484)岩波英和辞典新版の用例「D」 | トップページ | (486)日経新聞9月14日夕刊に岩波英和辞典新版の写真 »