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2018年9月14日 (金)

(761) ざっくり分かるファイナンス.方法論とツール

(761) ファイナンスを学ぶ。方法論とツール。

前項で、「ファイナンスは関数の世界なので金融電卓などのツールがないと学習さえもできない」とお話しました。
そこで、繰り返しにはなってしまいますが、ファイナンスの学習のことをお話しようと思います。

ツールが手元になくて、ファイナンスの学習をしようと考えて本を読んでも、単なる「お話」を読むだけになってしまいます。
昔の言葉で言えば「畳の上の水練」ですね。ピアノを持っていなければ名ピアニストにはなれないのと同じです。

Img_20180729_195533大型書店の棚を見るとファイナンスの本はそれなりに揃っています(白矢印)。この本棚の本はほとんどぜんぶ目を通しました。エクセルなどのツールを使うことを前提として書かれたファイナンスの一般書は『道具としてのファイナンス』(石野雄一著)だけです(赤矢印)。
また、私としてもこの本がイチバンのお勧めです。(ほかに、MBAを目指す人のためとか、企業の中のファイナンス専門の人のための本はいくつかあります)

Img_20180730_181303エクセルなどのツールを使わなければほんとの意味でファイナンスの理解できないと思いますが、「ファイナンスついて他人が言っていることの意味がわかればいい」ということでしたら、同じ著者の『ざっくりわかるファイナンス』(光文社新書)がお勧めです。

前項で書きましたが、ファイナンスを実務で使うわけではなくて、自分自身が理解しておくだけで良いのなら、エクセルを使うより200LXに装備されている金融電卓とlotus123を使うほうが手軽で学びやすいと思います。

Img_20180607_001735この項では、『ざっくりわかるファイナンス』の本についてお話して、次の項で200LXを使いながら『道具としてのファイナンス』を読んでいくことをお話しします。

『ざっくりわかるファイナンス』の本の「はじめに」には、「本書は学問的な話や関数などを使った小難しい計算式は一切なし、計算はかけ算・割り算止まりです。つまり、ふつうの読解力と算数の知識さえあれば、最後まで苦労せずに読み進めることができるはず」と書いてあります。
つまり、この本を読むことで、知識としてはファイナンスのことがわかるけれど使えるようにはならない、ということです。

この本のAamazon review を見ていくと、この本の性質がわかります。
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「ファイナンスって何?会計と違うの?」というレベルの人にぴったり
投稿者:木村勝哉
「ファイナンス」という技能が具体的にどういう能力・作用を持つのか、「ざっくり」でありつつも何となくイメージ出来た。
「会計」と「ファイナンス」の区別もつかない人が「へぇー、経営者ってこういうことをやっているんですね 」くらいの感覚で読むのに合っている。
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というreviewが、この本をもっともよくとらえていると思います。

別のreviewで、
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タイトルに惹かれました。
投稿者KY
読んだときには、なるほどと思いました。
しかし、今、内容を思い出せないということは。もう一度読みます。
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このreviewもこの本の内容をとらえています。
読みやすい本というのはすらすら読めます。しかし、自分の手を動かしてカラダで理解しなければ、身にはつかないものなのです。

この本の Aamazon review には良い評価がたくさんついています。review というのは、とても良くできたシステムだと思いますが、どういう立場の人が評価しているかを考えながら読む必要があります。

この本は、実際に使えなくても知識として理解できれば良いという人にとっては、よくできた読みやすい本だと思います。

Koubunshaさて、そのように考えながら、出版元の光文社のサイトに掲載されているこの本の目次を見てみます。

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目次
第1章 会計とファイナンスはどう違う?
キャッシュと利益/「過去」か「未来」か/横文字の多いファイナンス/「現金商売が強い」といわれる理由/「融資」も「預金」も「投資」である/「無借金経営」は債権者の発想/株主と債権者のマインドの違い/経営者の役割とは? ほか
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第一章では、そもそも「会計とは何なのか?」ということを書いています。「会計」についてのざっくりしたまとめと復習です。「会計」のことを俯瞰してとらえるということでは、とてもよくできた書き方だと思います。

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第2章 ファイナンス、基本のキ
三つの意思決定に関わること/利益重視の落とし穴/会計からファイナンスへ/リターン=利回り=収益率/期待収益率/負債コスト/株主資本コスト/資本コスト/欧米に経常利益の概念がない理由/WACCを認識していない経営者/負債の節税効果/投資家の信頼を得るには ほか
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第二章で説明しているのは、「じゃあ、ファイナンス」というのはどういうことか?ということです。
この章は「ファイナンス」のまとめです。ファイナンスの概論です。どういうことを扱って何をめざしている学問領域かということです。説明が上手だと思います。

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第3章 明日の1万円より今日の1万円?お金の時間価値
お金の価値は、そのお金をいつ受け取るかで変わる/複利の考え方/将来価値の計算/現在価値の計算/永久債の現在価値/成長型永久債の現在価値 ほか
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第三章のキモは「お金の時間的価値」です。この概念と計算が「ファイナンス」の最も根幹になっている考え方です。"Time Value of Money " ということです。

Tvmここでイキナリ200LXの画面を出しちゃいます(笑)。TVM (Time Value of Money)の画面です。TVMは、200LXの金融電卓のうちで、おそらくもっとも頻回に使う機能だと思います。住宅ローンの計算なんかに使う画面です。住宅ローンということ自体が、「お金の時間的価値」そのものなのです。

(シミュレーションとして)住宅ローンの計算ができるということは、もう、ファイナンスが半分くらい実感できるということです。
ここで寄り道して、「住宅ローン」計算のことをちょっとお話しします。

住宅ローン計算で必要な要素は「借入金」「利率」「返済期間」の3つです。この3つの要素から「(毎月の)返済金額」が計算されます。
「借入金」というのは、お金の現在価値 present value のことです。「利率」はinterest、「返済期間」はperiod(時間)、です。「返済金額」には「元金」返済分と「利息」返済分が含まれているはずです。「将来価値」の future value は完済の時はゼロとして計算しますが、ローン借り換えのときに表面に出てきます。

ファイナンスの本では、どの本でも「将来価値」とか「現在価値」などの概念を説明するのに苦労します。でも、200LXを持っている人に対してだったら、ズバリと「住宅ローン計算をするTVMのことですよ」「自分でローン計算をして『お金の時間的価値』を実感しましょう」といえば、それで済んでしまいます。

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第4章 会社の値段
事業価値と非事業価値/フリーキャッシュフロー/減価償却/運転資金の増加分/割引率はWACCを使う/企業価値の計算/株価が高すぎるときは…… ほか
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この章から実際の「ファイナンス」の話に入ります。もちろん、「お金の時間的価値」ということがわかっているということが話の前提になっています。

簡単に言ってしまえば、「会計」っていうのは単年度のことなのですが、それを住宅ローンを逆にしたように積み重ねて、「お金の時間的価値の計算」で現時点の金額に計算し直せば、現在の会社の値段になるということです。それを詳しく計算するだけのこと。

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第5章 投資の判断基準
投資判断の決定プロセス/NVP法/割引率は高すぎても、低すぎてもよくない/本社機能のNVPがマイナスの理由/IRR法/回収期間法/プロジェクトの数だけWACCが存在する ほか
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この章で言っている「投資」っていうのは、会社の内部でプロジェクトに投資するということです。混同しがちですが、株式投資とは別の話です。プロジェクトが将来稼ぐ金額を積み重ねて、逆住宅ローンの計算をすれば、そのプロジェクトの金銭的な価値を計算できます。それによってそのプロジェクトを実行するか(つまりそのプロジェクトに投資するか)の判断に使うということです。

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第6章 お金の借り方・返し方
レバレッジ効果/MM理論/節税効果分だけ、企業価値が高まる/負債を増やしすぎると、企業価値は低くなる/最適な資本構成とは/「負債を減らす」のはいいことか?/リスクを嫌うお金/格付けの誤解/配当のメカニズム/配当と企業価値/自社株取得/企業のライフサイクルと分配/経営者の意思決定のためのツール ほか
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自社のカネでプロジェクトに投資するか他人のカネを使うか、どちらが効率よく稼げるかていうことです。住宅ローンを計算するのに、頭金をいくら用意するか、借入金をいくらにするかという話と似たようなもの。

ただ、会社だから儲かったカネから返済しなければならないし、株主に配当も払わなきゃならない。それでも利益がでていれば税金を収めます。

経営者は自分の成績を上げるのに、そこらへんを総合的に考えて経営しますってことですね。

最後にもういちど面白いreviewを紹介しておきます。

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良書!ではあるが。
投稿者そして誰もいなくなったりならなかったり。

ファイナンスについて、非常にわかりやすく解説した良書。★5つでもよい。

しかしながら、ファイナンスは所詮、学問・理論であって、企業経営にとって絶対的な価値を有するものではない。そもそもお題目のように繰り返される「株主価値」についても、経営者や経営に携わる者で、株主価値が一番大事な価値観だと本当に信じている人は皆無だろう。ファイナンス理論はそもそもそこに一番大きな問題があり、現実と乖離してしまう部分が出てくる。

たとえば、非常に多くの経営者が愛読していると聞く「ビジョナリー・カンパニー」のように、企業理念に示された価値を貫くこそが最も大切であるという考え方の方が、より今日的であると言えるのではないか。
著者は負債を増やさない経営者を「前近代的」と非難するが、もしかしたら、著者の主張の方が「前近代的」ですらあるかもしれない。

いずれにせよ、現下の世界同時不況の下では、レバレッジを効かせるべきという経営理論の旗色が悪いことは事実であり、「日本の経営者は経営の基礎がわかっていない」と嘆いても、企業の中ではあまり同意が得られない。
同意してくれるのは、著者のように、まさに資本コストを飯の種にしている方や、主にM&A・投資関係の仕事をしていて、自らの業務を正当化する理由を探している人々しかいないであろうことに留意する必要がある。

要は、ファイナンスの知識はビジネスマンの嗜みですが、信仰みたいなものなので、人に押し付けると嫌われる可能性が高いということです。、
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このreviwerは、会社の経営のことがよくわかっている人なのかなぁ、、、どうなのかなぁ、、、

私は営利企業のサラリーマンをしたことがないし、弱小企業しか運営したことがないので、大きな会社の経営とか内部事情のことはまったくわかりません。

でも、「ファイナンスは所詮、学問・理論」って考える人がいることは覚えておきたいと思います。

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