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2020年8月19日 (水)

(875)どうやってファイナンスを学べばよいのか?

(875)どうやってファインナスを学べばよいのか?

(816)週刊ダイヤモンド「会計&ファイナンス」特集はツマラナイ」で、週刊ダイヤモンドのファイナンス特集号(2020年2月1日号)の批判をしました。
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最近の特集号といっしょに、上の写真の昔のファイナンス特集号(2017年6月10日号)を事務所の書斎のテーブルに放り出してあります。2冊のファイナンス特集号の内容をパラパラと見ていたんですが、「こういう書き方じゃあ理解が進まないよ!」とあらためて思いました。

そこで、今回はファイナンスの学び方のことをもう一度お話しようと思います。

そもそも「ファイナンスってどういうことなの?」っていうことからお話します。

ひとことでいうと、「『ファイナンス』って現在のお金と過去・将来のお金の変換」ということなんです。それが「ファイナンス」の本質なんです。

A. もうちょっと詳しく説明します。ファイナンスの最初の解説には、必ずと言っていいほど「金利が10%のときに、現在の100万円と1年後の110万円が同じ価値です」っというような話が載っています。
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これはだれでも直感的にわかります。このことが理解できない人はほとんどいないと思います。

だけど、ファイナンスの説明では、「現在の100万円と1年後の110万円が等価である」ということから、次の概念にポーンと飛んでしまうことが多いんです。小学校の算数でとつぜん「分数」がでてきて、多くの子どもたちがその「分数の壁」を越えられないみたいな感じです。ファイナンスのことがなかなか理解できないのは、この部分が「壁」になっているんじゃないかと思います。

もうちょっと壁を低くすれば、「壁」乗り越えられるだろうと思います。

「壁」を乗り越えるのに、現在の100万円と等価な金額のことをさらに考えます。2年後、3年後、、、n年後を考えてみます。

当たり前ですけど、2年後は、100万円×(1+金利)×(1+金利)=121万円
3年後は、100万円×(1+金利)×(1+金利)×(1+金利)=133.1万円
4年後は、100万円×(1+金利)×(1+金利)×(1+金利)×(1+金利)=146.41万円
n年後は、100万円×(1+金利)^n ですよね。(金額は、金利が10%のときの計算です)

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ここまえのことも、だれでもわかると思います。

問題なのは、この先なんです。

B. 上の計算ですぐにわかると思いますが、「ファイナンス」は「掛け算」とか「べき乗」の世界なんです。
一方で、簿記・会計は「足し算」「引き算」の世界です。

経済週刊誌の特集で、「ファイナンス」と「会計」を同時に解説しがちですが、じつは世界がまったく違います。
「足し算」「引き算」の世界にいる人を、とつぜん「掛け算」と「べき乗」の世界に連れて行っても、見当がつきません。

「足し算」「引き算」はふつうの電卓で計算できます。
ところがファイナンスの「べき乗計算」は、「金融電卓」じゃないと計算できないのです。

ちょっと別のことをたとえ話でお話してみますと、、、、
・「水泳」泳ぎ方を、わかりやすく丁寧に詳しく説明した本があるとします。
でも、プールに入らなければ、いくらいい本を読んで学習しても、泳げるようにはならないです。
・「自転車の乗り方」の本があるとします。もちろん、丁寧に詳しく乗り方を説明してあるとします。でも、その人は自転車を持っていない人だとしたら、やっぱり、いくら本を読んで学んでも、自転車に乗れるようにはならないと思います。

「ファイナンス」も「水泳」や「自転車」と同じです。
ファイナンスは、「べき乗」の世界なので、ファイナンス計算の専用の機械、つまり「金融電卓」がないと計算できません。学習もできないです。

C. 確かに、「ファイナンスの本」を読めば、理解できるような気がします。
でも、気がするだけです。

・「水泳」の例でいうと、、「泳ぐっていうのはね、まず胸の深さのプールに入ってね、顔を水につけてね、カラダを固くしないでリラックスして、両腕を前に伸ばして水の表面に浮くようにするんです。そうして、プールの壁を足の裏で軽く蹴って、全身の伸びをするように両腕を前にグーンと伸ばしてやります」それで、スーッとカラダが前に進んでいきます。

これで、だれでもが泳げるようになると思いますか?

・「自転車」の例でいってみましょうか。「まず、両足を地面につけて自転車にまたがります。片足をペダルに乗せます。そのペダルを下に押し付けるようにするとカラダが持ち上がりますから、サドルに尻を乗せます。あとは、両足を交互に踏み降ろしてペダルをこぐことで自転車が前に進んでいきます」

この説明で、だれでもが自転車に乗れるようになるか?ってことです。

「ファイナンス」も同じです。いくらファイナンスの本を読んでも、雑誌の特集号の懇切な説明を読んでも、「金融電卓」が手元になくて、「金融電卓」を操作してみなければ、ファイナンスの「べき乗」の世界の入り口にも達しません。

理解したような「気」になるだけです。じっさいには使いものになりません。

D. 「でも、エクセルの関数に金財務関数があるからそれで計算できるでしょう」っていう考えはあると思います。そのとおりです。

「ファイナンスがどういうものか?」を理解した上で、解答を得るにはエクセルは便利です。だけど、「ファイナンス」を理解していなければ、財務関数を使いこなせないのです。「ニワトリが先か卵が先か」っていう感じですかね。財務関数はファイナンスの「学習」には向いていません。

E. ここで、「『ファイナンス』って現在のお金と過去・将来のお金の変換」という、最初の話に戻ります。

現在のお金の価値と、過去・将来のお金の価値を行ったり来たりするときに、計算に影響するファクターは、「金利」と「期間(年月)」です。

ごく一般の人にとって、「現在のお金」、「将来のお金」、「金利」、「期間」が計算できれば、ファイナンスを理解できたと言って良いと思います。
もっと率直にいうと、マンションを購入するときのローン計算ができれば、それで「ファイナンスの処方はマスターした」と言っていいと思います。ローンの計算こそが、現在のお金と将来のお金の交換の計算です。

以上は、パーソナル・ファイナンスのことです。コーポレート・ファイナンスはアマチュアの範疇を越えたプロの仕事です。

不動産購入でも自動車購入でも、購入時のローン計算、あるいはローンの借り換えの計算ができなければ、ファイナンスがわかったとは言えないし、逆に、それができればファイナンスの初歩は理解できているということです。
「(762) ファイナンス番外編. 200LXを最強の住宅ローン計算機に」でローン計算のことをお話したことがありますが、これができればファイナスの最初の「壁」は突破したということです)

それにしても、専用の道具である「金融電卓」がないと、ファイナンスの学習も計算も非常に難しいと思います。

最後に、その「金融電卓」のことです。

F. 金融電卓を入手するとしたら、テキサス・インスツルメンツ(TI)のか、ヒューレット・パッカード(HP)のものを買うことになるでしょう。

HPで言うと、ロングセラーのHP12Cがあります。でも、かなり使いにくいです。(このブログでも批判しています)
HP19Biiという機種が、金融電卓の完成型と言われています。
これをさらに使いやすくしたのがHP95LXです。画面が広いために19Bよりもずっと使いやすいです。後継機種の100LX/200LXは、金融電卓としては95LXと同等です。

パーソナルファイナンスの計算に限っていうと、金融電卓は一般の電卓の100倍使いやすいと思います。95/100/200LXは、専用の金融電卓の5倍くらい使いやすいと思います。

コーポレートファイナンスの世界だったら、金融電卓も95/100/200LXもエクセルに太刀打ちできないです。エクセルの独壇場と言えます。

、、ということで、「金融電卓」とくに95/100/200LXが手元になければ、一般の人にとってはファイナンスの考え方を身につけることができないだろうと思います。逆に数万円の投資で200LXを入手すれば、わりと簡単に「ファイナンス」が理解できると思います。

「水泳」も「自転車」も「ファイナンス」も、道具・環境が整った上で、ある程度のエクササイズをすれば身につけつことができます。

同様のことを、「(760) ファイナンスを学ぶにはツールが必要」でお話したことがあります。

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