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カテゴリー「3. 人生設計と投資」の58件の記事

2019年7月16日 (火)

(795) solverで、70歳以降に年金カットされない最高額の給与を計算する。

(795) solverで、70歳以降に年金カットされない最高額の給与を計算する。

前々項の「(793) 70歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算してみる」で、「200LXのsolverで計算式を作りかけたのですが、年金制度があまりに複雑なので計算式を作ることができませんでした」と書きました。
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-5d90c3.html
もともとは、「70歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算する」ことは、HP200LXのsolver上で計算の式を作りたかったのです。

Lotus123で計算シートを作りながら、計算の仕組みがしだいにわかってきたため、やっとsolverの式を作ることができました。

ダウンロード - kyuyo.eqn

200LXsolverでは使える日本語文字に制限があります。たとえば一本、二本の「本」は使えません。給与の「与」の文字も使えません。そのため、同じような意味の語に置き換えなければならない場合があります。
そういうことで、前項までの文字列と違った文字を使っているところがあることはご容赦ください。

6998_20190716182501 200LXのsolverはスゴク面白い計算機能です。その面白い機能については、「(447)200LXのsolverでは逆算ができる」でお話ししました。
「solverの面白いところは、逆方向の計算ができることです。電卓とか通常の表集計アプリでは、いろいろ数字を考えて、試行錯誤しながらおおよその見当をつけることしかできません。しかし、solverだと、ある金額の「可処分所得」を得るにはいくらの所得が必要かということが計算できます」と説明しました。
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/200l-1313.html
(solverについては今までもいろいろお話ししていますので、この項の下に関連項目をあげておきます)
(そのほかの項は「6. Lotus123 と Solver」のカテゴリーから探してみてください)

6999 今回のような計算で、solver式を作ることができれば、「計算のベースになる数字を入力」→「結果の数字を計算する」という順方向の計算だけでなく、「計算結果の数字を入力する」→逆算して→「ベースになる数字を計算する」という逆方向の計算ができます。これがsolver機能の便利なところです。

6997 今回作ったsolverで、まず順方向の計算をしてみます。
「(793) 70歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算してみる」の最初の図の数字を入力ました。
「月制限額」に、2019年の制限の数字47万円を入力します。
「厚生65年額」に、65歳までに決定した老齢厚生年金の基本金額を入力します。
「後65平均給」に、65歳~70歳までの(厚生年金保険料を支払った)平均給与額を入力します。
「他年収?」に、ほかの年収があれば入力します。(なければゼロとします)
「後70給與額」に、70歳以降に予定している給与月額を入力します。
最後に、「支給停止額」の[F7]を押せば、1694.80円と計算されます。
(lotus123とじゃっかんの数字が違うのは、lotus123では画面が見やすいように四捨五入で丸めてあるからです)
6991 せっかくのsolver式なので、逆方向の計算をしてみます。
「月制限額」に、2019年の制限の数字47万円を入力します。
「厚生65年額」に、65歳までに決定した老齢厚生年金の基本金額として100万円と入力します。
「後65平均給」に、65歳~70歳までの(厚生年金保険料を支払った)平均給与額として30万円を入力します。
「他年収?」に、ほかの年収として35万円があるとして入力します。
70歳以降の給与額を計算したいので、先に「支給停止額」をゼロと入力しておきます。
最後に、「後70給與額」の[F6]を押せば、349278.5円と計算されます。
この場合、70歳以降の給与を34万9000円としておけば安全圏(厚生年金支給をカットされない)ということがわかります。
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※ 自分のために書いておきます。
 ここでの計算には、老齢基礎年金額と加給厚生年金額は計算しません。
 支給停止の金額を計算するときに、老齢基礎年金額と加給厚生年金額は考慮しないからです。 
 このことをついつい忘れがちなので、注意が必要です。
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200LXのsolverについて、以下の項でお話ししています。

(95)金融電卓のSOLVERのこと。
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/95solver_65fe.html

SOLVERというのは、「ユーザー独自の計算式」を登録しておいて、計算できる機能です。各変数がファンクションキーに割り当てられますので、数字を入力してからファンクションキーを押すことで、希望の変数の値を求めることができます。その式のグラフも描くことができます。

(240)あらためて、solverの説明
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/239solver_1dac.html

それで、わかっている方には無駄なことなんですが、solverで何ができるのかをご説明しようと思います。

(447)200LXのsolverでは逆算ができる
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/200l-1313.html

solverの面白いところは、逆方向の計算ができることです。電卓とか通常の表集計アプリでは、いろいろ数字を考えて、試行錯誤しながら、おおよその見当をつけることしかできません。しかし、solverだと、ある金額の「可処分所得」を得るには、いくらの所得が必要かということが計算できます。

(521)200LXの計算機能で遊ぶ.(4)solver機能
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/521200lx4solver.html

200LXの金融電卓の中で、いちばん楽しいのは solver機能だと思います。身近になにか計算したいことがあったら、ぜひsolver式を作ってみてください。

自分で問題を作って、自分でそれを解くのですから、無限の楽しみがあります。自分の周囲に「問題」があまり多くないのが、いちばんのモンダイですが、、、(笑)

solver式については、200LXのマニュアルを読むのがもっとも良いのですが、さらに入門については、ニフティサーブの時代にFHPPCフォーラムの有志が作った初心者用入門セットがあります。私もお世話になりました。「SOLVER_N.TXT」をダウンロード

2019年7月15日 (月)

(794) 60歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算してみる。

(794) 60歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算してみる。

前項で、70歳以上で年金が支給停止にならない範囲の給与の最高額を計算してみました。
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-5d90c3.html

同じ計算シートで、60~65歳の場合の年金が支給停止にならない範囲の給与の最高額を計算してみます。

ここでは「在職老齢年金の支給停止の仕組み~働きながら年金を受けるときの注意事項~(日本年金機構)」の例で計算してみます。
www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000011_0000027898.pdf

(1) 上記のサイトの「老齢厚生年金額216万円〔基本月額18万円〕の方が、総報酬月額相当額30万円(標準報酬月額22万円、標準賞与額96万円〔月額8万円〕)」の場合です。
9999 C2に、(65歳未満なので)28万円を入力しておきます。
C7に、216万円を入力します。
C15に、30万円を入力します。
これで、C18に支給停止金額が120万円と計算されます。
上記サイトの例と同じ金額になることがわかります。


(2) 次に、支給停止額がゼロになるための給与額を探してみます。
9998 C15に、10万円を入力すると、支給停止がゼロになることがわかります。
う~ん、65歳未満で老齢厚生年金を満額受給しようとすると、月給を10万円に押さえる必要があるのですね。これじゃあ、「仕事をするな!」と言っているのと同じです。だからぶらぶらしている高齢者が街にあふれているんですね。このシステムでは、日本の活性を大いに阻害していると思います。
もし、支給停止をゼロにしたいなら、老齢厚生年金の繰り下げを選択するしかなくなると思います。

(3) 上記のサイトの「老齢厚生年金額180万円〔基本月額15万円〕の方が、総報酬月額相当額42万円(標準報酬月額32万円、標準賞与額120万円〔月額10万円〕)」の場合を計算します。
9997 C2に、(65歳以上なので)47万円を入力しておきます。
C7に、180万円を入力します。
C15に、42万円を入力します。
これで、C18に支給停止金額が60万円と計算されます。
上記サイトの例と同じ金額になることがわかります。

(4) 次に、この例での支給停止額がゼロになるための給与額を探してみます。
9996 C15に、32万円を入力してみると、支給停止がゼロになることがわかります。
65歳以上なら、月給が32万円までは支給停止がゼロになりません。
この場合の総年収は、年金から180万円、給与が384万円なので、(C13にあるように)合計564万円になります。
この金額がC3の564万円と同じ金額なので支給停止がゼロになるわけです。

私としては、もっと早くにこの計算シートを作っておいて、計画的に給与額をコントロールすればよかったと後悔しています。後悔先に立たずです。(涙)

(793) 70歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算してみる。

(793) 70歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算してみる。

私の場合、「これくらいの給与なら支給停止にならないハズ」と計算したのですが、間違っていたため老齢厚生年金の一部が支給停止になっています。とてもくやしいです。
給与額を改訂できるのは通常は年に一回だけなので、改定時期に適切な給与額を決定しなければなりません。

制度的には、65歳~70歳の間に給与を支給されている場合は、一方で老齢厚生年金を受け取りながら、他方で厚生年金保険料を納入します。しかし、70歳を契機に保険料を納入する必要がなくなります。そして、65~70歳の間に納入した保険料ぶんが加算されて、70歳以降の老齢厚生年金支給額が決まります。

老齢厚生年金の支給額は、基本月額が47万円を超えると超えた分の1/2が支給停止になります。
つまり、支給停止ぶんを税金とみなせば税率50%ということになります。もちろん所得税も住民税もかかりますから、実際には限界税率は70%くらいになるだろうと思います(←正確には計算していませんが)。

そのため私としては、老齢厚生年金支給がカットされない最大の給与額以内の給与を受けて働きたいと考えています。
表題の「70歳以降、年金カットされない給与の最高額を計算」というのはそういう意味です。
その計算をしようと思って、200LXのsolverで計算式を作りかけたのですが、年金制度があまりに複雑なので計算式を作ることができませんでした。Lotus123で計算シートを作りました。ダウンロード - maxkyuyo.lzh

この計算シートは自分用なので70歳以降を想定しています。70歳以降で定期的な給与を得る仕事についている人は10%くらいだそうですから、この計算シートがお役にたつ方は少ないとは思います。60歳以上あるいは65歳以上の方にも入力する金額を変えればお役に立つと思います。(OpenOfficeに読み込めると思います)

 このシートの使い方について簡単にお話しします。

1999_20190715131001C1に、老齢厚生年金の制限月額を入力します。2019年の時点では47万円です。
C5に、老齢基礎年金の支給月額を入力します。(求めようとする給与月額には影響しません)
C7に、(70歳以前の)老齢厚生年金の基本額を入力します。
C8,C9は、金額が決まっているなら入力します。(求めようとする給与月額には影響しません)
C11に、65歳から70歳までの給与の平均月額を入力します。これによって70歳以降に加算される額が決まります。
C12には、65歳から70歳までの5年間の月数を入力します。

あとは、70歳以降の給与額をいろいろ入力してシミュレーションします。
C15に、想定の給与額を入力します。
C16は、ほかに給与がある場合に入力します。
C18で、支給停止額が計算されます。この支給停止額がゼロ以下になる最高の給与額を探します。

上の図では、65歳以降(70歳を超えても)一定の給与額であることを想定して、最大の給与としていくらまでもらえるかを探してみました。36万円の月給(年収÷12)にすると、C18がマイナスになりませんから、わずかに支給停止になります。

1998_20190715131001 支給停止にならない給与額を探すと、35万9000円です。これならC18がマイナスになりますから、年金支給がカットされません。

1997_20190715131001 別の数字を入力してみます。65歳から70歳までの給与の平均月額が40万円だとして、C11に400000円を入力します。C10に70歳以降に加算される年金額が13万1544円と計算されます。この加算された厚生年金額で70歳以降の最大の給与額を探すと、図のように35万8000円です。

1996_20190715131001 さらに別の数字を入力してみます。65歳から70歳までの給与の平均月額が30万円だとして、C11に300000円を入力します。C10に70歳以降に加算される年金額が98658円と計算されます。この加算された厚生年金額で70歳以降の最大の給与額を探すと、図のように36万円です。

1995_20190715131001 もうひとつ別の数字を入力してみます。65歳から70歳までの給与の平均月額が45万円だとして、C11に450000円を入力します。C10に70歳以降に加算される年金額が14万7987円と計算されます。この加算された厚生年金額で70歳以降の最大の給与額を探すと、図のように35万7000円です。

この項は、「(786) 加給年金も含めて計算してみると、繰り下げは受給で損することになる」に関連していますので、こちらもご覧になってください。
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-c0ae3b.html

この項の計算は、以下のサイトを参考にして作成しました。

(1)在職老齢年金の調整ルールを少しでも分かりやすくできないか?画を描いてみる
https://yuma-money.com/2019/01/financial-planning/working-pension-plan/

(2)老後に働きすぎると年金は支給停止になる
https://president.jp/articles/-/25793?page=2

(3)在職老齢年金制度、シニアの就労に水差す年金カットの不条理
https://www.jcer.or.jp/blog/kimurashin20190320.html

(4)仕事をしながら年金をもらえば安泰?
https://kurassist.jp/kurassist-eye/eye24/01.html

(5)在職老齢年金の支給停止の仕組み~働きながら年金を受けるときの注意事項~(日本年金機構)www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000011_0000027898.pdf

2019年7月 8日 (月)

(791) 週刊東洋経済「年金大激震」特集は、あまり参考になりませんでした。

(791) 週刊東洋経済「年金大激震」特集は、あまり参考になりませんでした。

このところ「年金2000万円不足問題」があちこちで取り上げられています。

Img_20190705_163341 この「年金2000万円不足問題」を受けてのことだと思いますが、最新号の「週刊東洋経済」が「年金大激震」という特集を組んでいます。サブタイトルには「もらえる最高額をシミュレーション」「『繰り下げ増額』を徹底解説」とあります。
内容を読んでみたところ、「徹底解説」というわりにはあんまり参考にならない薄っぺらな特集でした。

いっぽう、google で「年金2000万円不足問題」を検索してみると、たくさんの情報がヒットします。そのなかの10件くらいを読んでみました。

私が読んだ中では、大江英樹(経済コラムニスト)の「『年金2000万円不足問題』で起こっている3つの残念な勘違い」という意見がマトモな考え方だと思いました。https://diamond.jp/articles/-/206611

======  引用 ======
「年金だけでは豊かに暮らせない」は誰でも知っていたこと

 金融庁の報告書に書かれている「大切なこと」が、馬鹿騒ぎによってスルーされてしまっています
勘違いによる馬鹿騒ぎに終始するあまり、報告書に書かれている「非常に重要なこと」に焦点が当たっていないことが、最も残念である。

 そもそものメディアの取り上げ方が根本的に間違っていたし、それを政権攻撃の材料にしようとする野党、年金が問題化することを恐れて受け取り拒否などという暴挙に出た金融担当大臣、そして何よりも「年金」と聞いただけで脊髄反射的に「破綻だ」「詐欺だ」と騒ぐ一部の人たち。いずれも実に残念としか言いようがない。
===================

そうなんですよね。老後の生活にしても年金の支給額にしても、人によって大きく違いますから、平均とか代表例で議論すること自体に、あんまり意味がないと思います。

自分自身の年金問題に取り組むには、自分に関連する年金のシステムや金額について、わかっている最大限の情報をもとにして、自分用のライフプランニング表を作る以外にないと思います。

個人の年金問題は、自分ごととして取り組まなければ意味がないと思います。代表例について多い少ないと騒いだからって、自分の将来が安泰になるわけではないです。また、老後の生活について、国や制度が何とかしてくれるだろうという他力本願では、精神的・肉体的・金銭的に豊かな老後を迎えられるはずがないです。

「老齢年金」は、込み入った制度的なので、受取額を簡単には計算できません。
もし、65歳からの受取額をとりあえずの計算できたとしても、(1)繰り上げあるいは繰り下げするかどうかという問題があります。それに絡んで、(2)加給年金を受け取る場合の総合的な損得の問題がでてきます。年金だけで暮らしていくわけじゃないですから、(3)ほかの収入を考慮に入れる必要が出てきます。(4)総合的に、所得税・住民税・社会保険料も加味して検討する必要があります。

Img_20190705_163421 確かに、「手取り額の算出は受給者個々人の状況によって千差万別であり、唯一絶対の正解は存在しない」とは書いてあるのですが、「じゃあどうやって計算したらいいの?」ということが書いてありません。

今回の週刊東洋経済では、そのらへんの踏み込みがなくて表面をざっとなぞっただけの内容でした。もし、まじめに特集するなら、まず、上記(1)~(4)くらいの検討すべき要素があることを示すべきでしょう。

そのうえで、各人が自分で計算できるように、個別の要素について計算の例を提供して、実際に計算できるエクセルシートでも提供すればよかったと思います。

今回の 週刊東洋経済「年金大激震」特集は、「年金2000万円不足問題」を受けて、やっつけ仕事で記事をまとめたのだろうと思います。内容的には、「(786) 加給年金も含めて計算してみると、繰り下げ受給では損することになる」でお話しした、日経マネーの2019年6月号「特集2 年金の一番得するもらい方」のほうがずっとよくできた内容だったと思います。
http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-c0ae3b.html

2019年5月12日 (日)

(786) 加給年金も含めて計算してみると、繰り下げ受給では損することになる。

(786) 加給年金も含めて計算してみると、繰り下げは受給で損することになる。

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本日(2019年5月11日)の日経新聞に「シニア、年金納付いつまで?」という記事が掲載されていました。
記事のメインは、「保険料は何歳まで払う?」「年金は何歳から受給?」ということでした。

厚生年金の会社員の場合は、通常、65歳から基礎年金と厚生年金を受給します。記事によれば、70歳まで働くとした場合、65歳から70歳までは年金を受け取りながら年金を払います。
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そして、70歳でリタイアするとしたら、その時から保険料の支払いがなくなります。受給のほうは、5年間に払った保険料分が上乗せ計算されて、増額された年金が死ぬまで支給されます。

以上のことは、それはそれでよいと思います。

今回お話ししたいことは、65歳から70歳まで年金を受け取らずに「繰り下げ」をした場合の損得です。損あるいは得するとしたら、その金額はいくらなのかということも考えてみたいと思います。

まずは、(1) 5年間の繰り下げをした場合の単純な損得を考えます。つぎに (2) 加給年金を含めての損得も計算してみます。

Tuuchi
Caseによって金額が違ってきますので、「(712)年金の繰り下げ受給はかなりヤバい。繰り下げしない方がよい」に掲載した「通知書」の金額で計算することにします(上の図)。

3999
この図が、(1) 5年間の繰り下げをした場合の単純な損得です。
 1.  65歳になったら、基礎年金も厚生年金も受給する場合(左側)と、
 2.  5年間は基礎年金だけ受給して、厚生年金は繰り下げして受給しない場合(右側)
 を比較します。
 この表では、累積受給額に注目します。

3998
上の図は、1. と 2. で累積受給額を比較してみたものです。
図から読み取れるのは、80歳(直線がクロスしている点)までの受給額では 1. のほうが多く、80歳以降では 2. のほうが多いということがわかります。
80歳以上生きるとしたら、繰り下げ受給のほうが得ということです。
「主な年齢の平均余命」を検索してみると、65歳男の平均余命は17歳程度ですから、平均では82歳まで生きることになります。
以上のデータから、65歳から厚生年金を受給するよりは、70歳まで繰り下げてから受給するほうが、(平均寿命まで生きるとしたら)トータルの年金受給額は多いということになります。

さて、問題は「加給年金」も加味した場合です。「加給年金」は「年金の家族手当」とも言われます。配偶者との年齢差によって受け取る金額が変わってきますので、ここでは配偶者が7歳年下仮定して計算します。

3997
この図は、計算の一覧表です。上方の図で示した(712)の「通知書」では、年額39万9800円となっていますので、この金額で計算しています。

3996
図は、「加給年金」の受給を含めて計算して、5年間の繰り下げをした場合としない場合の比較です。
図から読み取れるのは、両者で累積受給額がほぼ同額になるのは85歳ということです。つまり、85歳以上生きれば得するという計算結果になっています。

上に書いたように、配偶者ぶんの加給年金を受けられる人が平均余命の82歳まで生きるとしたら、繰り下げ受給するとで損してしまうということになります。

ファイナンシャルプランナーなどの多くの人が、「繰り下げ受給が得」というようなことを言っています、配偶者がいる人の場合は「繰り下げ受給が『損』」となるのが一般的です。

以下「蛇足」

余分な計算ことですが、配偶者との年齢差が年金の累積受取額にどのように影響するかもお話ししておきます。

年齢差がゼロの場合は、もともと「加給年金」を受け取れません。(配偶者と同時期に配偶者のほうも年金を受け取れからです)
もし配偶者が20歳年下だとすると、85歳の時点では、加給年金がなくて繰り下げもしない場合の累積受取額は2383万円です。
20歳の年齢差があって繰り下げ受給すると累積受取額は3201万円になります。
その差は818万円(約34%)も多くなります。 あ、ごっつぁんです~(_O_)(ぺこり)(笑)。

[2019年5月12日の追記]

日経マネーの2019年6月号を書店で立ち読みしました。
「特集2 年金の一番得するもらい方」が、とてもよくまとまっている記事だと思います。

内容は以下の通りです。
・年金の一番得するもらい方 現役時代から知っておきたい
・受給開始年齢引き上げはある? 年金の最新動向を押さえよう
・年代&働き方別にもらえる年金額を予測
 ライフスタイルで差がつく 「65歳時点の年金・月額」
・見込み年金額が分かれば的確に人生設計が描ける 「ねんきんネット」 を活用しよう
・年金の繰り上げ ・ 繰り下げのメリットとデメリットを知る
 受給開始は60~70歳の範囲で選択可能
・お得な受給開始タイミングを検証! 生涯受給額&手取り額も要チェック
・働き方を工夫すれば年金は増やせる! 「68歳まで働き受給繰り下げ」 が王道?
・年金受給時期と仕事のバランス お金のプロ3人が語る

2019年1月25日 (金)

(779) 現物投資用不動産(マンション)とREITを比べてみる。

(779) 現物投資用不動産(マンション)とREITを比べてみる。

「(777) 大阪で所有している賃貸マンションの売却シミュレーション」で、「あとで、 REIT を買う場合の想定利率を入力する、もう一つの「←」矢印のこともお話しましょう」と書きました。

当該マンションの売却が終わったら、その資金で REIT を買うつもりでいます。そのため、現物の投資用不動産(マンション)の投資と、REITへの投資とをくらべて考えてみます。

現物不動産とREITは同じように不動産関連の投資ではありますが、証券化されたREITは現物不動産とは大きく異なります。性質が違う投資をどちらが有利とくらべてもあんまり意味がないと思いますから、ここでは価値の増減だけを考えます。

現在(1月18日 )のJ-REITの平均分配金利回りは 4.07% で、いちばん利回りが高い銘柄は6%台後半です。まぁ、利回りが高めの銘柄に平均的に投資すると、6.5%くらいになります。

そこで、平均利回りを6.5%としてREITに投資する場合と、当該マンションを売らずにマンション投資を続けていく場合の資産の増え方を比べてみてみます。

7996_4(A)当該マンション投資は、売却するとしたら1100万円、ローン残高522万円、家賃は現行の6.8万円と設定しておきます。REITに投資できるのは、売却価格の1100万円からローンを返済した618万円です。じっさいには不動産の売却手数料などがかかりますから、手元には600万円以下ですね。でも現実不動産のほうも設備の費用などがかかりますから想定よりも利益は低くなります。

7999_3先に、当該不動産投資を続ける場合の資産の増加をグラフ化します。現時点の資産は600万円くらいで、10年後に1000万円くらいです。

(B)REITの投資は投資信託よりも債券投資に似ています。株の配当金や債権のクーポンのように「分配金」を受け取ります。ですから利回りっていうのは分配金利回りのことです。配当やクーポンや分配金は定期預金のように「単利」ですね。しかし、分配金を再投資すれば、現物不動産の「単利」的な資産増加と違って、「複利」的に資産が増えます。

7997_2そこで、上記の6.5%の利回りを「単利」と「複利」の両方で計算してみます。(黒く塗ってある部分)

7998図のグラフで、上向きになっていく一番上のグラフ線が「複利」計算の場合です。
いちばん下の直線がREITの「単利」計算で、真ん中のグラフ線が当該不動産の場合です。

こうして比べてみると、この先10年間くらいでは、3者ともあんまり違いがないですね。

違いが出てくるとしたら、現物不動産にしてもREITにしても、景気の波の上下でしょう。

ただ、現金化しやすいかどうかということを考えると、だんぜんREITのほうに軍配があがるでしょう。

(778) 大阪の中古マンションは売り時でしょうか?

(778) 大阪の中古マンションは売り時でしょうか?

前項では、私が所有している賃貸マンションについて、売却シミュレーションを作成しました。
今回は、「いまは中古マンションの売り時なのか?」を考えます。

「大阪 中古マンション 市況」というキーワードで、google検索してみました。現状を報告するサイトがいくつもあります。

たとえば、、、

Oosaka(1)「大阪の不動産はバブルなのか?ええ、大阪市のマンションがバブっています」(2018/08/20)
https://iqra-channel.com/osaka-city-mansion-bubble
このサイトでは、「
戸建を含めた大阪の不動産がバブっているのではなく、全体的に見て大阪市のマンションがバブっているといえる」と、グラフ付きで説明しています。

18_2(2) 「市況トレンド 2018 年 7~9 月期の近畿圏市場 - 近畿レインズ」
www.kinkireins.or.jp/rte/shikyo-1/shikyo-zenpen.pdf

こちらのサイトでも、「成約価格は大阪市が12期連続、兵庫県他は11期連続で前年比プラスとなり、大阪市と大阪府北部、神戸市、兵庫県他、和歌山県の平均価格は、7~9期としては2000年以降で最も高い水準となった」と、説明しています。

このようなサイト記事を読むと、大阪圏はバブルのように価格が上昇している地域で、いまが「売り時」であることがわかります。

「大阪のマンションは、いつ売ったらいいの?」「今でしょ」という感じでしょうか。(笑)

上で示したようなグラフを見ると、不動産投資というのは不動産価格が比較的安い時に購入して、賃貸(家賃)収入でコツコツ利益を上げながら、不動産価格が高騰した時に売りぬくことで大きな利益を得る、という投資法であることがよくわかります。

このような不動産投資が可能である対象物件は、おそらくファミリータイプのマンションと、大規模な事業用物件なのだろうとおもいます。
私の場合、大型物件には手が届きませんから、「(688)ワンルームマンション投資はくれぐれも気を付けてください」でお話ししたようにファミリータイプのマンションを対象にするしかないだろうと考えています。http://we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/688-0105.html

ここでは、「ファミリータイプのマンションは、ワンルームマンションと違って、収益不動産という側面のほかに、実需の不動産という面があります」「つまり、ひとつのファミリーマンションに対して、二つの(金銭的)価値観で評価されるということになります」
「そういうことで、ファミリータイプのマンションは、価格が下がって収益性が高いときに購入して、価格が上がって収益性が下がったときに売ることで、今回私が売却したようにキャピタルゲインを得ることができます」とお話ししました。

ファミリータイプのマンションを投資対象にするのは面白い投資法ではありますが、入居者が居住している賃貸中の物件として売却すると、きょくたんに安くしか売れないというのが、ちょっと難点だと思います。

(777) 大阪で所有している賃貸マンションの売却シミュレーション

(777) 大阪で所有している賃貸マンションの売却シミュレーション

今回は、私が大阪で所有している賃貸マンションの売却を検討しているので、それについてのお話しいたします。
管理を頼んでいる不動産屋さんから、今年の2月28日までに入居者が退去するという連絡が入りました。
そこで、賃貸を続けるのと、売却するのとでどちらが有利かを検討する必要が出てきました。

HP200LXに搭載されている金融電卓の中のTVM (Time Value for Maney )を使うと、ローンの詳しい計算が手軽にできることはご存じのとおりです。さらに、表集計アプリケーションであるLotus123が搭載されていますから、いろいろシミュレーションして結果をグラフ化して検討することができます。

いままでも、「(682)マンション投資で利益がでる(稀な)例」 や、「(684)マンション投資のこと。今は不動産バブルの状態か」
「(688)ワンルームマンション投資はくれぐれも気を付けてください
「(694)不動産投資のご注意と、人生設計の絶対公式についての補足」
などでお話ししていますので、そちらの記事も参考にしてください。

今回は、賃貸を続けるか、売却してしまうか、あるいは資金を REIT に投資するか、などを検討したいので、新しいシミュレーション表を作りました。「20190124.LZH」をダウンロード

その画面を見ながらお話ししましょう。

9999_3画面の上半分左側1/4に、当該マンションに関する数字を記入するようにしてあります。
「想定売却価格」「「現在のローン残高」「購入した時の価格」「確定申告の期末簿価」などです。

そのすぐ下に、「現在の家賃」「管理費」「ローンの返済額」「返済の金利分」「年間の固定資産税」などを記入してあります。

右上のほうには、アパートローンに関する数字を記入してあります。

これらの数字の中で、今回シミュレーションするのに重要な数字は、「←」矢印をつけてある、「売却の想定価格」と「賃貸を続ける場合の家賃収入」です。

住宅ローンを組めば返済金額などはそのまま何十年も続きますし、マンション管理費や固定資産税などもほとんど変わらずにず~っと続きます。

他方、変化する要素のおもなものは、家賃の価格変動と、修繕費などの必要な経費ですね。
今回は、その変動に加えて、いくらぐらいで売却できるかという金額がシミュレーションの対象になります。それで「←」矢印をつけてあるわけです。(あとで、 REIT を買う場合の想定利率を入力する、もう一つの「←」矢印のこともお話しましょう)

あ、そうだ。HP200LXのTVM (Time Value for Maney )と Lotus123 を組み合わせて使うと、簡単にローン返済表を作れることはご存知だと思います。いちおう、次の記事で説明しましょうか。
ローンが絡んだシミュレーション計算をするときに、200LXが作ってくれる返済表をベースにして計算するのが計算しやすいです。今回のシミュレーションも、金融電卓とLotus123が作るローン返済表をベースにして考えています。

そういうことで、画面の下半分は200LXのローン返済表を活用する形で作ってあるわけです。

Aの行は年齢を入力するようにしています。Bの行は西暦です。Cは年間の家賃収入を自動計算、Dは管理費と固定資産税を自動計算、Eはローン返済金額を自動計算。すると、年間の収支が計算できますので、Fの行で自動計算しています。Gの行では(あんまり意味がありませんが)ローン返済のうちの利子分の還付を計算しています)

Hの行で、前年までの収支とその年の収支を累積して計算しています。Iの行では、売却想定価格から毎年1%ずつ売却価格が下がると考えて自動計算しています。後述するように市況によって中古マンションの価格が大きく変動します。経年変化による価格の下落はわずかです。
Jの行の数字は、200LXが作ったローン返済表から手作業でコピーしたローン残高を記入しました。

最終的には、 K の行の数字を得たかったのです。

Kの行の数字は、その年に、ローンを返済してマンションを売却した場合に、手残りがいくらになるかを計算しています。ここでは、税金を考慮していません。

9998_2マンションを売却した場合の手残り(Kの行の数字)をグラフ化してみます。このときの条件は、売却想定価格を1100万円、家賃を7万円、マンション管理費は2.2万円、ローン返済額は8.6万円、固定資産税6.9万円です。

グラフでは、今の時点で売却処分すると600万円程度の手残りになることがわかります。10年後は1040万円くらいです。このマンションを保有している価値としては、平均すると年間で44万円くらいずつ増えていくということです。

9997_2シミュレーションが目的ですから、条件を変えてみます。売却価格を700万円とにします。家賃を6.5万円としてみます。すると現時点で処分した場合は、200万円の手残りで、10年後の価値は600万円です。年間で40万円ずつ価値が増加していく計算です。

賃貸住宅の家賃は価格硬直性がありますから、あまり大きくは変わらないものです。

今回、1100万円で売却処分できるか、あるいは700万円くらいでしか売れないのかで、手残りが大きく変わってくることがよくわかります。いったい、いくらぐらいで売れるものなのでしょうか? 

そもそも、現在は中古マンションの売り時なのでしょうか? それとも売り時ではなく買い時なのでしょうか? 次の項で考察することにします。

2018年11月 6日 (火)

(766) 日本が財政破綻すると、どれくらいのインフレになるのだろうか?

(766) 日本が財政破綻すると、どれくらいのインフレになるのだろうか?

以前、私自身が「日本もそのうちにインフレが来るだろうと以前から考えています。「国家破綻」にまでは至らないだろうとは思いますが、1ドル400円くらいの円安にはなるだろうと考えて、身構えています」と書きました。((758) 『ハイパーインフレの悪夢』とベネズエラの現実

しかし、実は1ドル400円の円安という数字に根拠はありませんでした。また、今まで多くの財政破綻関連の本を読みましたが、どの程度の円安になるか、どの程度のインフレになるかということを、根拠を示して論じている本を見かけたことはありません。

そこで、今回は、断片的・独断的ではありますが、日本の財政破綻によってどれくらいのインフレ・円安になるかを考えてみます。

I. まずは、基本的なところから、日本の財政状況を見てみます。

財務省 Ministry of Finance Japanの「国の支出と収入の内訳は?」を見てみると、

Sainyuu歳出・歳入が98兆円ということですから、支出は約100兆円規模と考えてよいです。一般会計の歳入のうち、「租税及び印紙収入」は約60%の59兆円で、公債が34.5%33.7兆円です。
「租税及び印紙収入」のうち「所得税」は19.5%の約19兆円、「法人税」は12.5%の約12兆円、消費税が18.0%の約17.6兆円、その他の税収が10.6%約10兆円です。

今回、いちばんわかりやすくて計算しやすい「所得税」だけを計算して、それを元にして考えていくことにします。

Saishutu財政破綻を避けるためには、まずはプライマリーバランスがとれることを目標にすればよいでしょう。
「基礎的財政収支」を「租税及び印紙収入」でまかなえばプライマリーバランスがとれるだろうと単純に考えてみます。
具体的な金額でいうと、「租税及び印紙収入」の59兆円が1.26倍に増えて、基礎的財政収支の74.4兆円の規模になれば良いだろうということです。

そういうことで、インフレ・円安によって「租税及び印紙収入」が1.26倍になる状況を目指して計算を進めていきます。
(考えとして飛躍しすぎですが)インフレ・円安によって「所得税」が1.26倍になれば、「法人税」「消費税」「その他」もほぼ同じように1.26倍になると仮定してしまいます。
(もちろん、そんなに単純なはずがないのですが、私の能力では複雑にシミュレーションすることができません)

KyuuyokaikyuII. そこで、現在の所得税がどのように徴収されているかを見てみます。

国税庁のサイトの「給与階級別の税額」の表をそっくりそのまま、200LXのLotus123に入力して、検討することにします。

5998この「給与階級別の税額」では、納税者を「給与階級」で区切って、その階級ごとに構成比や納税額を示しています。

8996階級ごとの納税者数をグラフ化してみると、「年収」が300~400万円の階級に属する人が最多で、19.3(千人)いることがわかります。また、1000~1500万円の階級に5.7(千人)いることもわかります。

7998100万円の幅の中のいくらの金額を、この階級の代表値にしたらよいか検討したところ、100分の15の金額を階級の代表値にすると国の所得税収をうまく計算できることがわかりました。

「年収」が100~200万円の階級では「年収」115万円を代表の値とします。年収が1000~1500万円の階級の代表値は1075万円とします。こうすることで、計算がしやすくなるということです。

5997「年収」から「所得税額」を計算するのは、以前の「(663)200LXのsolverで、年収から手取り額を概算する」でお話したsolver式を使います。

たとえば、1000~1500万円の階級の代表値を1075万円とすると、所得税は97.78万円と計算できます。

7998_2この階級の人数は1995(千人)ですから、計算上のこの階級の所得税収は97.78万円×1995(千人)=19507.1億円計算されます([AI56]のセル)。実際の税収は[AH56]のセルにある20759億円で、ほぼ一致します。

このように各階級ごとに計算して、全部の階級の税収を合計すると右下[AI61]のセルの95272.9億円となります。実際の合計税収は[AH61]のセルにある94506億円です。この2つの数字の一致率は1.00811でほぼ同額となります。

7999どのように一致しているかをグラフ表示してみます。計算した税収の総額と、実際の税収の総額はほぼ一致するものの、図のようにズレが生じています。
どんな要因によるズレなのかはわかりませんが、納税者全体として考えて実際の合計税収にほぼ一致しているので、これで良いことにして先に進みます。

これから本題に入ります。

8996_2III. まずは、現状から2倍のインフレになったと想定してみます。図で示した各階級に属する人たちの収入がそれぞれが2倍になったとして、税収がどのように変わるかをもう一度solver式で計算します。

5996上で示した1075万円の年収が2倍の2150円になった場合の所得税額は414.66円と計算されます。

5995このようにして、2倍になった年収での所得税額を各階級ごとに計算して、その階級に所属する人数を乗じて、それらを合計してみると417511億円となります([AJ81]のセル)。これは、実際の税収の4.41倍の税収と計算されます([AK61]のセル)。

つまり、全給与所得者の年収が2倍になると、国の所得税の総額は4.41倍になるということです。

6996収入が2倍になると所得税の税収が4倍以上にもなるというのはちょっと驚きです。では、給与収入が1.5倍ではどうか? いや1.2倍ではどうか? と、給与収入の増加によって所得税収がどのようになるのかを計算してみてました。


6999_2数字の羅列では理解しにくいので、200LXの関数電卓のList Stat に入力して、グラフ表示してみたのが左の図です。([Forecast]で表示させます)
図のように。各ポイントはきれいな線の上に乗っています。

6998この曲線の式を見てみると、傾きが2.13で切片が1.02のExponential Curve です。式は、「所得税収=8^(給与の増加×2.13)+1.02」です。XとYの相関は1.00ですから、ほぼ完全にこの曲線の上に乗っていることがわかります。

4999ここまで計算してきたところで、この項の最初に提示した設定「インフレ・円安によって「租税及び印紙収入」が1.26倍になる状況」を計算してみます。
所得税収が1.26倍になるための給与増加の割合は1.11倍と予想(Forecast)できます。つまり、現状よりも11%のインフレになれば、とりあえずのプライマリーバランスが取れるだろうということです。

もちろん、現実がこんなに簡単にシミュレーションできるはずありません。
また、給与の増加が直接的に税収の増加に結びつくわけでもありません。
放っておいても社会保障費などはどんどん増加していきますし、国の歳入が増えればそれに伴って歳出も増えていくはずです。

しかし、今回、大雑把な上にも大雑把な計算をしてみたことで、国の財政逼迫が進むにしても、私が考えていたほどには大幅なインフレにならないんじゃないかと思うようになりました。

第一次世界大戦後のドイツや、第二次世界大戦後の日本ではハイパーインフレがおこりました。日本ではその後預金封鎖が起こり、デノミネーションも実施されました。しかし、現在の積み上がった国家債務はそういう状況とはかなり違うと思います。

日本でこれから起こると予想されるインフレは、そういうインフレ・ハイパーインフレとは惹起するメカニズムも違うのではないかと思います。

そのように考えてきて、この項の冒頭に書いた「1ドル400円くらいの円安にはなるだろう」というのは、せいぜい1ドル200円の円安程度にしかならないんじゃないかと考えを改めました。

もしかしたら、1ドル150円程度の円安とそれに伴うインフレくらいで財政破綻が回避されて、積み重なっている巨額の赤字もその後徐々に解消されていくのではないかと考えるようになりました。

(今回計算に使ったwk1シートをアップしておきます)200LXの液晶画面よりも広い画面で計算していますので、計算シートの広がりはパソコンの上のOpenOfficeなどで見てください)

(グラフは200LXでなければ表示できないと思います)3種類のグラフが入っていますので切り替えて表示してみてください)「ZEISH.LZH」をダウンロード

2018年10月25日 (木)

(764) 遺言書作成を弁護士に依頼するのは、ずいぶん高額.

(764) 遺言書作成を弁護士に依頼するのは、ずいぶん高額.

私は週に数回大型本屋さんに行って大量の本を立ち読みしてきます(ジュンク堂さんごめんなさい)(笑)。

71pnきょうは、新書の棚で『いますぐ遺言書を書きなさい』 (マイナビ新書)(発売2018/10/24)(大瀧靖峰著) を見かけたので、ざっと読んできました。

以前に「(602)遺言書作成の手引きは、ほとんどが非現実的だ」(2012年9月25日)というお話をしましたが、上記の本も、私としてはまったくお勧めできない内容でした。
そこで、この本の内容のことと、遺言書をどのように考えたらよいかということについてお話しようと思います。

まずは、上記の本の内容についてです。本の表紙の画像はAmazonから拝借しました。「内容紹介」もAmazonから拝借します。
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遺言は年をとってからゆっくり書けばいい? いやいや、いつ書くの?今でしょ!

「遺言書を書くのなんて、遠い先の話だ」、そう考えていませんか?
そう考えていると、イザ! というときに手遅れになります。

遺言書は家族への最高の贈り物。ラブレターです。
書くのは早ければ早いほどよいのです。

何となくその必要性を感じつつも、書いてこなかった「遺言書」について、その必要性を、弁護士である筆者が受けもった事例を交えつつ解説します。

遺言書によって、親族による骨肉の争いを避け、遺産相続の手間を省き、あなたの思いを大切な人に伝えましょう!
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これを読むと、本のタイトルも本の内容も良いと思います。要するに「なるべく早くに遺言書を書いておくのがよい」ということです。

そのことについては、「そのとおり」「早く遺言書を書いておくのが良いですよ」とお勧めします。
私もまったく賛成です。

でも、私はさらに付け加えたいことがあります。「いますぐ書く遺言書は、完全な遺言書でなくてもよいのです」「数カ月なり数年してから読み返して、さらによい遺言書に書き直す」ことをお勧めしたい。

、、というのは、自分の家族に対しても、財産に対しても、考え方が変わるものだからです。もちろん、考え方が変わるだけじゃなくて、実際に孫が生まれて家族が増えたり、あるいはだれか死亡して家族が減ったりもします。財産自体も増えることもありますし減っていることもあります。

遺言書を書いたことがない方は、「数年で家族や資産や状況がそんなに変わるかなぁ?」「家族や資産に対する『考え方』が変わるものかなぁ?」とお思いになるかと思います。

『変わります!』 自分でびっくりするほど変わるものですよ。
ご自身で遺言書を書いたことがある方なら、「そうそう、大幅に変わるんだよ」と実感すると思います。

「自分は変わらないと思うなぁ」という方は、それはそれで良いのです。それでも遺言書を書いてみることをお勧めします。

「自分は変わる可能性が高いなぁ」と思う方も、やはり、遺言書を書いてみることをお勧めします。

そういうことで、遺言書を書くのは一回だけではないのです。遺言書を書くのが早ければ早いほど、死ぬまでに書き直す回数は多いと思います。(そりゃ、当然でしょう)

私自身は、まだ30年くらい生きると思います。5年に一度ずつ遺言書を書き直すとしたら、6回書き直すという計算になります。

ところで、遺言書は大きく分けて「自筆遺言書」と「公正証書」の2種類の遺言書があります。

上記の本は弁護士さんが書いているため、「公正証書」遺言を勧めています。本の中に遺言書作成の費用が書いてあるかを探してみたら、相続財産が2900万円の例が書いてありました。費用は52万9200円だそうです。もちろんこれは概算で、CASEによって違ってくると但し書きがありました。

私の場合に当てはめれば、たったの2900万円の資産だとしても50万円×6回→300万円の遺言書作成の費用がかかるということなってしまいます。

222450新聞に掲載された「費用の目安」もご紹介しておきましょう。
2017年5月6日の日本経済新聞の記事です。右上の表には、1億円以下なら5万4000円とあります。

記事内容には、「弁護士や司法書士らに手伝ってもらうと少なくとも数万円の費用が上乗せされる」とも書いてあります。

また、「公正証書を作成する当日には、利害関係のない証人2人が立ち会わなければならない」ともあります。「公正証書遺言書」を作る方は参考にしてください。

私自身が作成している遺言書は「自筆遺言書」ですので、こんどはそのことをお話しましょう。

222720民法が改正されることで、2019年1月からは自筆遺言書が書きやすくなります。

新聞記事によると、遺言書関連の改正の要点は、(1)財産目録の部分はパソコンで書いて良い、(2)自筆遺言書を法務局に持参すると法務局で保管してもらえる、(3)法務局では自筆遺言書が法律的に有効かどうかをチェックしてくれる、(4)チェック済みなので、相続が発生したときに「検認」の手続きが不要になる、ということです。

いままでは全文を自筆で書かなければならなかったので、それがけっこう大変でした。民法が改正されるとかなり楽になります。(私の感覚からいうと、労力は全文自筆の半分以下になると思います)

それにしても、自筆遺言書を作るのはけっこうたいへんです。私が作るときは「よいしょ」っていう感じでとりかかって、一日かかりで作成します。とても面倒です。

222527確かに、自筆遺言書を作っておくのが良いのですが、この新聞記事のように、資産の一覧表だけでも作っておくのが良いと思います。

一覧表があれば、万が一、相続が発生したときに遺族はずいぶん楽だと思います。

この新聞記事には、「定期更新が大事」と書いてあります。そうなんです。上に書いたように、資産はかなり変化するものなんです。

「資産の一覧表」を作って余力があれば、エンディングノートも作っておくのが良いと思います。
というのは、家族が死んでから、遺言書がじっさいに効力を発揮するまで数ヶ月かかってしまうからです。
遺言書に書かれた内容が実行されるのは葬式が済んでから数ヶ月後のことです。その数ヶ月の間にするべきことを、エンディングノートに書いておくのが良いはずです。エンディンノートについては「(544)デジタル版「もしもノート」を作った」の記事を参考にしてください。

最後に「遺言書」のことを、もう少し追加して書いておきます。

ネットで検索すれば、「遺言書が法律的に有効かどうか」「遺言書の内容はどのように書くのが良いか」を、低額でチェック・添削してくれる法律家(行政書士など)を見つけることができます。

自分で書いた遺言書を専門家に添削してもらうと、より良い書き方を知ることができます。なによりもありがたいのは、遺言書が法律的に有効であるとチェックしてもらえることです。

自分の自筆遺言書を添削してくれた行政書士にとても感謝しています。

(今回のお話はざっと書いたので、あとで多少訂正すると思います)

より以前の記事一覧