(876)ファイナンスを学ぶのに必要な金融電卓。
前項で、「ファイナンスの『べき乗計算』は、『金融電卓』じゃないと計算できない」とお話しました。
前項とほぼ同じ内容のことを「(760) ファイナンスを学ぶにはツールが必要」でもお話しています。
ここでは、「ファイナンスを学ぶにはツールがないと難しいでしょう」ということと、「ツールとしてはHP200LXが最適」ということをお話しています。
今回は、普通の金融電卓と200LXとで、形態と機能が違うというお話をします。
ヒューレットパッカード(HP)は、いままで多くの金融電卓を製造・販売してきています。私は、HP12C、 HP17Bii、 HP19Biiという3種類の金融電卓を持っています。(「(91)金融電卓としての200LX」でお話しました)
左上がHP12Cで、左下がHP19Bii、右がHP17Biiです。
また、とくにHP12Cについては、(309)HP12Cの本「ときめきひらめき」でお話したことがあります。
まずは、その「金融電卓」のことからお話します。
下の写真はHP12Cという横型の金融電卓電卓です。以前にHP15Cのことをお話したことがありますが、HP12Cと共通の横型電卓のデザインで、かっこいいです。
このHP12Cの盤面をみてください。キー全体の右半分は、200LXの数字キーとよく似ています。200LXそのものが金融電卓から派生しましたから、とても似ているんです。
左上のいちばん操作しやすい場所にある[n][i][PV][PMT[FV](赤線で囲いました)の5つのキーが金融電卓の特徴です。
それぞれ、[n]頻度、[i]利率、[PV]現在価値、[PMT]支払い、[FV]将来価値のキーです。
こちらは、HP17Biiです。私は金融電卓としてはこの機種が使いやすいです。同じような形で廉価版のHP10という融電卓は、さらに使いやすかったです。それで「使いやすいよ」と知人にあげてしまって、すでに手元にありません。
17Biiはいろんな機能を切り替えて使うことができます。そのために表示部のすぐ下にある汎用ボタンで操作するようになっています。この図はTVM機能に切り替えて、[n][i][PV][PMT[FV]を表示させたところです。
さて、200LXの金融電卓のことです。[+-*/]のキーを押して、[A][T]を押すことで、TVM計算画面になります。
HP200LXの前身のHP95LXは、ヒューレット・パッカードとロータス社の合作であったことはご存知ですよね。金融電卓部分と筐体やキーレイアウトはHP社が受け持って、PIMとLotus123はロータス社のほうが受け持って作られました。
ですから200LXの金融電卓部分は、HP12C、 HP17Bii、 HP19Biiを受け継いでいます。そのために、この金融電卓画面でも上から重要度順に、TVM、Cash Flows、 Business%、 Solver、 List Stat と並んでいるんだろうと思います。
金融電卓でいちばん重要な機能のTVMを選ぶと、
この画面のように、上から[N][I%YR][PV][PMT][FV]と表示されています。下方に[P/YR][B/E]があります。
これは、上の方の写真の「HP12C」の[n][i][PV][PMT[FV]とまったく同じです。
金融電卓のいちばん重要な機能が、この Time Value of Money (TVM)であるために、この機能が最初に置かれています。
この画面で、金利が10%の世界では、現在の100万円が5年後の161.0510万円と等価であることを計算しています。
200LXでは、[N][I%YR][PV][PMT][FV]と[P/YR][B/E]の7つの要素をひとつの画面で表示できます。ひと目で確認できますから、とても見やすく使いやすいです。
まったく同じ計算をしている上のほうの画面のHP17Biiでは、一つの要素しか表示できません。
あとの6つの要素は記憶しておくか、紙にメモしておく必要があります。いちいちメモしておくということでは、かなり使い勝手が悪い機械です。
そういうことでは200LXでの金融計算に慣れると、もうほかの金融電卓を使う気になりません。
私は、200LXの金融電卓ばかりを使っていますので、ほかの専用金融電卓は、電池を抜いて戸棚の隅に眠らるだけになってしまっています。
HP12Cのことを「(309)『HP12Cによる ときめきひらめき金融数学』」でお話ししたことがありますが、HP12Cはすでにかなり旧式の金融電卓です。時代遅れの機種の本を出している著者は、金融電卓の進歩をしらないんだと思います。そういう先生から指導される学生さんたちはすごくかわいそうです。戦前とか江戸時代のレベルの教育を受けているようなものです。
200LXの金融電卓が便利であることをさらにお話しします。
上の200LXの画面では、利率が10%のときに5年後には161.0510万円と計算されていました。
じゃ、もし、利率が6.21%だったらいくらになりますか?
計算するには、[6.21]と入力して、[F7][F10]を押せばいいだけです。135.1534万円と計算されます。
もっと面倒な計算だって楽勝です。
たとえば、現在の100万円が、3.5年後に、将来価値が145万円になるような利率はいくらか?
[100]を入力して[F8]を押す。[3.5]を入力して[F6]を押す。[145]を入力して[L][F10]を押してから[F7]を押せばいいんです。11.2001%の利率です。
TVM計算の場合は、5つの要素のうち4つを入力してから、もとめるべき一つの要素のキーを押せば、それが計算されます。
ところで、普通の電卓での計算では、1+5→6と計算されますよね。TVMの場合で言えば、1に何を足したら6になりますか?っていう逆方向の計算も瞬時にできます。
この「逆方向の計算ができる」というのが、金融電卓の最大の利点です。
(200LXの金融電卓のsolver機能は、この逆方向の計算を汎用化したものです)
(solverは自分で自由な計算式を作って計算できますから、きわめて便利です)
このsolver機能のことは、今まで何回もお話してきています。
左袖の「カテゴリー」の中の「6. Lotus123 と Solver」をクリックすることで、solverについてどんな項目があるかご覧になれます。
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